長い時間がかかりましたが、やっとベートーベン交響曲全集が完成しました。発売は秋になると思います。ドイツとの共同制作でしたのでデータのやり取りなどにも時間がかかりました。
この仕事を通じて再確認できたのは、私達の仕事は音楽を形にして定着することであるということでした。音楽のスタイルは様々ですし、録音物に対する考え方も様々だと思います。
特にクラシック音楽は一番いい位置にマイクを置いて演奏をそのままキャプチャーするのがベストという考えの人が多いと思います。オーディオ的にはシンプルで音がいいかもしれません。しかしオーディオのために音楽作品を創っているわけではありません。クラシック音楽はまず作曲したスコアに忠実でなければなりません。そのためには編集も、EQもレベル変更も含め、ダイナミックオートメーションも行いありとあらゆる作業が必要となります。シンプルイズベストとは真逆かもしれませんが、その結果音楽が力を持って人に届くのです。また最近のオーディオ雑誌を観てみるとハイレゾ〜とかの冠がついたものが非常に多いように思います。私は普段の制作は全ていわゆるハイレゾで制作していますし、多くのサラウンド作品を手がけています。ハイレゾやサラウンドはプロとして普通の事として仕事をしていますのであえて冠をつける必要がないのです。オーディオ第一主義には疑問を持ちます。私が目指しているのは良いオーディオ作品ではなく音楽作品だからです。